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あとがき 朝日・読売・毎日新聞の方々へ
まず取材のことですが、インタビューすれば友人は私がこの犯罪の計画
を十一月からたてていたこと等を証言してくれるでしょう。私が冗談めか
して彼等にふれ歩いたのです。次に私の顔写真を付録につけておきました。
事件のイメージを大衆にはっきりと植え付け、私への憎しみをより確固な
ものにするのに役立つはずです。
なおこの遺書を書くのに、日本のある小説家の文体を借用させていただ
きました。教養のある三大新聞社の記者のことですからすでにお気づきか
もしれません。その小説家の文体は論理的にものごとを述べようとする時
に非常に効果的なのです。この小説家の方にはお礼の手紙を書きました。
それから、私の祖父母の財産はなるべく焼き捨てることになっておりま
す。私がその在処を知っている貯金通帳・証券類だけでどんなに少なくて
も数千万、多ければ一億以上になるはずです。大衆はこの話だけでも少な
からず不愉快になるはずです。
それではエリート記者の皆さん、思いきり私をけなす記事を書いて下さ
い。ではさようなら。
一九七六年一月十日 水曜 夜十一時
朝 倉 泉
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